2022.03.24

ワセリンとは?アトピー性皮膚炎に対する効果・副作用と注意点を紹介

  • アトピーケア

アトピー性皮膚炎にお悩みの方のなかには、ワセリンが効果的であると耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

アトピー性皮膚炎の対策としてスキンケアに用いられることも多くありますが、正しい使い方をしなければ症状が悪化する可能性もあります。

そこで本記事では、アトピー性皮膚炎にワセリンを使用する場合の具体的な役割と正しい使い方などを紹介します。

アトピー性皮膚炎の対策について、ワセリンの役割が知りたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

ワセリンとは?

ワセリンとは、石油を原料として肌の保湿・保護を目的としてつくられた塗布剤です。

肌の保湿や保護が可能で、アトピー性皮膚炎などに使用されるものをはじめとして、幅広く塗り薬や化粧品のベースとして使われています。

天然成分である石油から不純物を極力排除して精製されており、刺激性が少なく赤ちゃんから大人まで使用しやすいとされています。

ただし、種類によって精製度合いが異なっており、より純度が高いものほど刺激が少ないといわれています。

主な入手方法としては、病院で処方してもらう場合や薬局・ドラッグストアなどで市販のものを購入する方法があります。

ワセリンの種類

ワセリンには大きく分けて黄色ワセリンと白色ワセリンの2種類があります。

それぞれの違いは精製時に含まれる不純物の度合であり、基本的に白色ワセリンのほうが、黄色ワセリンより精製度が高いとされています。

黄色ワセリンは白色よりも比較的リーズナブルな値段で入手可能である反面、アトピー性皮膚炎の方や肌が敏感な方では、白色ワセリンよりも刺激を感じたり、かぶれ等が出たりする可能性があります。

一方、白色ワセリンはアトピー性皮膚炎への塗り薬といった医療用にも利用されており、赤ちゃん用や敏感肌の方向けにより純度を高めたものもあります。

アトピー性皮膚炎にお悩みの方は刺激を和らげるためにも、白色ワセリンがおすすめです。

ワセリンが活用できるシーン

ワセリンは幅広い用途があるため、さまざまな場面で活躍します。以下に、利用できる主なシーンをまとめました。

ワセリンが利用できる主なシーン

    • スキンケアの仕上げ
    • 顔・唇などの保湿
    • アトピー性皮膚炎などによる湿疹への塗布
    • 裂傷・擦過傷などへの塗布
    • 日焼け後のケア
    • 髪の毛の保湿
    • 靴ずれの防止
    • 花粉症対策

……など

上記のように、アトピー性皮膚炎の塗り薬や保湿目的だけではなく、靴ずれや花粉症に対するへの対策など広く使用されています。

基本的に油膜で保護を行うため、水をはじきクッションとしての役割もこなせるワセリンは、非常に利便性の高いものといえるでしょう。

アトピー性皮膚炎に対するワセリンの効果

ワセリンには抗炎症作用などはありませんが、アトピー性皮膚炎の対策として効果が見込めるものです。

しかし、具体的にアトピー性皮膚炎に対してどのような効果があるのか分からない方も多いでしょう。

ここからは、アトピー性皮膚炎に対する効果や役割を解説します。

効果①肌の保湿・保護ができる

アトピー性皮膚炎でみられる痒みを伴う湿疹などの症状は、肌のバリア機能が低下しているために外部からアレルゲン刺激などの侵入を許してしまうことで引き起こされます。

ワセリンで日ごろから肌を保護し、低下したバリア機能を補うことで、症状を引き起こす外的刺激から肌を守ることができます。

また、湿疹や掻き傷の保護についても効果が期待できます。

アトピー性皮膚炎になったときは無意識に肌を掻いてしまうことや、服との摩擦などにより肌をさらに傷つけてしまいます。

人体は肌を再生しようと浸出液を出して肌を保護しようとしますが、肌が何かに擦れることで浸出液も失われてしまうので治りも遅くなってしまうでしょう。

しかし、ワセリンで油膜を張ることにより肌が保護され、浸出液も肌の表面にとどめることができるため、治りも早くなります。

効果②赤ちゃんのアトピー性皮膚炎発症予防につながるケースも

人がアトピー性皮膚炎を発症しやすい時期は、生後3か月前後と1~3歳ごろといわれています。

しかし、最近の研究では生後から半年~8か月ほどの期間にわたってスキンケアを行うことにより、アトピー性皮膚炎が発症する確率が下がるという研究結果もあります。

そのため、赤ちゃんの頃から保湿ケアを行うことは、アトピー性皮膚炎の発症予防になる可能性があり、保湿剤の選択肢の一つとして、ベビー用のワセリンも挙げられます。

赤ちゃんの肌はとても敏感であるため、より純度が高く柔らかいものを選ぶとよいでしょう。

アトピー性皮膚炎にワセリンを使う場合の副作用

ワセリンは軟膏の基材としても使用されるものであり、副作用リスクの高いものではなく、皮膚の保護を目的としてアトピー性皮膚炎の方にも処方されることがあります。

しかし、使う種類や肌の状況によっては異常が見られる可能性もあるため、使用する際には注意が必要です。

また、ワセリンそのものの副作用リスクは低いですが、使い方次第では細菌感染を助長してしまう場合や、水分不足になってしまうといったことも考えられますので、正しい方法で利用しましょう。

ワセリンの正しい使い方

ワセリンの基本的な使い方としては、スキンケアの仕上げとして少量を薄く肌に広げることが重要です。

スキンケアをせずに直接肌に塗ってしまうと、肌の表面に在中している細菌が油膜に閉じ込められ、かえって細菌を繁殖させてしまう原因にもなります。

菌が繁殖するとアトピー性皮膚炎の方の場合は、さらに湿疹を悪化させてしまう場合もあります。

また、ワセリンはあくまで油膜をつくって保湿をするものであって水分を与える働きはありません。

ワセリンを塗る前に化粧水などで水分を補うと、より保湿感が得られます。

どれくらいの量を手に取って塗ればいいのか分からない場合は、塗った箇所が軽くべたつくほどを目安にしましょう。

多すぎると服や汚れが付着しやすくなるだけでなく、毛穴をふさいでしまうことにもなるのでニキビや吹き出物の原因にもなりえます。

気温が低くワセリンが固くなっている場合は暖かい場所に放置するか、手のひらで伸ばして体温で温めてから使うと軟らかくなり、つけやすくなります。

両手のひらでよくなじませてから、手のひらで優しく押さえるようにして塗布しましょう。

できる限り皮膚を擦らないように使用することが大切です。

ワセリンを使用する上での注意点

ワセリンを使用する際には、いくつかの注意点があります。

以下に、主な4つの注意点をまとめました。

注意点①パッチテストを実施する

ワセリンは副作用リスクの低いものではありますが、肌との相性によっては、かぶれ等の肌トラブルを引き起こす可能性もあります。使う前にはパッチテストを行いましょう。

パッチテストにより自分の肌に合っているかどうかを確認できるため、悪化する前に使用するかどうかの判断ができます。

パッチテストの方法としては、二の腕の内側に少量を塗って数日様子を見ます。

塗った箇所が赤くなっていた場合や、湿疹が出た場合は肌に合っていない可能性があるため使用しないほうがよいでしょう。

特に、敏感肌の方やアトピー性皮膚炎の方は肌のアレルギー症状が出やすい傾向にあるため、パッチテストで試してからの使用をおすすめします。

注意点②顔に使うときは精製度の高いものを使う

人体の中でも顔の肌は特に敏感だといわれています。

そのため、アトピー性皮膚炎のかたはもちろん、敏感肌ではない方でも顔に使うものはなるべく刺激が少なく精製度の高い白色ワセリンを使うことをおすすめします。

顔は刺激を受けると吹き出物や肌荒れが起きやすい箇所でもあるので、肌にあったものを選ぶことが大切です。

使用して肌が荒れた場合は肌に合っていない可能性が高いため、すぐに使用をやめてほかのものを使うようにしましょう。

注意点③容器内は清潔に保つ

ワセリンの特徴として、酸化や腐敗といった状態変化が起きにくいことがあります。

そのため、防腐剤などが入っていないものも多く市販されていますが、保管している容器内に雑菌が入ると容器内で繁殖することはあります。

汚れた手で直接容器を触ることや、ふたを開けっぱなしにするといったことをすると、雑菌が入り込んで肌を荒れさせる原因にもなりえます。

また、湿度が高すぎる場合や直射日光が当たると変異する可能性もあるため、保管場所には十分な注意が必要です。

ほとんどの商品には安全に使える使用期限が記載されているため、ワセリンの容器はなるべく清潔かつ適切な場所で保管をし、使用期限が過ぎたものは使わないようにしましょう。

注意点④吹き出物があるときは使用を控える

ワセリンはニキビや吹き出物の出ている肌に、ワセリンの保湿・保護効果が有効に働くケースも有るようですが、吹き出物の状態によっては逆効果となるときもあります。

たとえば赤く腫れて触ると痛みを伴う吹き出物の場合、毛穴に雑菌が入り込んで炎症していることが考えられます。

そこで油膜で毛穴を覆ってしまうと、毛穴の中で菌が繁殖して余計に悪化させてしまうでしょう。

赤く腫れて痛みのある吹き出物がある部分には塗らないようにして、ニキビ治療用の薬などでケアを行うようにすることをおすすめします。

アトピー性皮膚炎の場合はワセリンで肌を保護することが効果的

ワセリンはさまざまな場所で活躍する塗布剤であり、アトピー性皮膚炎の方にも低下したバリア機能を補ったり、傷などを保護したりする目的で使う際には効果的でしょう。

副作用もほとんどなく手軽に使えることが特徴ですが、使い方を間違えるとかえってアトピー性皮膚炎を悪化させてしまうこともあるので、注意が必要です。

アトピー性皮膚炎の治療中の方は使用前にかかりつけ医や薬剤師に相談するのがおすすめです。

また、使用中や使用後に少しでも肌に異変を感じた場合は、すぐに使用をやめて様子を見たり、心配な場合は医師に相談したりしましょう。

アトピー性皮膚炎の原因の一つであるバリア機能障害は、正しいセルフケアによって改善することができます。

皮膚バリア機能を高めることで、皮膚の症状を改善したいとお考えの方は、セルフケアの見直しから始めてみてください。

ライスパワー研究所では、このほかにもアトピー性皮膚炎のスキンケアに参考となる情報を発信していますので、ご覧いただけますと幸いです。

記事を書いた人

ライスパワー研究所
編集部

ワセリンとは?アトピー性皮膚炎に対する効果・副作用と注意点を紹介

アトピー性皮膚炎にお悩みの方のなかには、ワセリンで症状を和らげられると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?本記事ではアトピー性皮膚炎に対するワセリンの効果や、使い方などを解説しています。

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