2022.03.03
アトピー性皮膚炎は、湿疹(皮膚の表層に起きる炎症)が見られる代表的な疾患の一つです。
かぶれや水ぶくれなどの症状があり、どの症状であっても強いかゆみを伴います。
幼児期に発症し、年齢を追うごとに良くなるのが一般的です。
しかし中には成人以降も続く場合もあるほか、一度治まっても再発する可能性のある疾患です。
そんなアトピー性皮膚炎に関して、「アトピー性皮膚炎の人と一緒にいたら、自分にうつるのでは?」「アトピー性皮膚炎を発症したけど、絶対に他の人にうつしたくない」といった声があるように、アトピー性皮膚炎はうつるものだと考えている人は少なくありません。
そこで本記事では、アトピー性皮膚炎は他人にうつるのかについて、わかりやすく解説していきます。
アトピー症状に悩む方、近くにアトピー性皮膚炎性の人がいてうつるか気になっている方はぜひ読んでみてください。
アトピー性皮膚炎は伝染性のない病気であるため、他人にうつることはありません。
ただしアトピー性の疾患は遺伝しやすい傾向があるため、両親や兄弟にアトピー性皮膚炎の人がいる場合には、発症の確率が上がります。
とはいえ、同じ部屋で授業を受けたり、一緒に遊んだり、同じお風呂に浸かったりすることでうつることは決してありません。
伝染性ではないアトピー性皮膚炎がうつると思われているのはなぜなのでしょうか?
アトピー性皮膚炎がうつると勘違いされている主な理由は、アトピー性皮膚炎と合わせて発症しうる疾患が他人にうつる可能性があるからです。
アトピー性皮膚炎を発症している人の皮膚は、免疫防御機能が下がっているため、合併症を引き起こしやすくなっています。
アトピー性皮膚炎がうつったと勘違いされがちな疾患について、項目に分けて見ていきましょう。
とびひは、細菌による皮膚の感染症です。
かきむしり跡などの傷口があると感染しやすくなります。
かき壊した部位から飛び火するように患部の周りや離れた場所に症状が広がる疾患です。
赤みやかゆみのある水ぶくれができ、破れてただれるタイプと、ただれた後に厚いかさぶたができるタイプがあります。
保育園や幼稚園で集団発生することが多いように、うつることの多い疾患です。
カポジ水痘様発疹症は、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を背景に、口唇ヘルペスなどの原因にもなる単純ヘルペスウイルスによって引き起こされます。
アトピー性皮膚炎の治療において重要な合併症と捉えられています。
通常の単純ヘルペスと異なり、顔や首を中心に、すでに湿疹などの症状が出ている部位に水ぶくれや膿疱が多発し、周囲に広がる疾患です。
感染症ですので、原因となるヘルペスウィルスが他人に感染する可能性が考えられます。
幼稚園や小学校低学年程度の年齢で集団感染がみられる疾患です。
軟属腫ウイルスが原因となっており、1~2mm程度の突起物が皮膚に多発します。
乾燥などによって皮膚のバリア機能が低下すれば、アトピー性皮膚炎患者でなくとも感染しうる疾患です。
アトピー性皮膚炎の人が、この項目で挙げてきたような伝染性のある疾患を併発し、他人にうつると、アトピー性皮膚炎がうつったと誤解される場合があります。
アトピー性皮膚炎は決して他人にうつらないものの、合併して発症した伝染性のある他の疾患がうつることで、うつったと誤解される場合があるのです。
アトピー性皮膚炎はうつらないものだと理解し、行動するようにしましょう。
ライスパワー研究所では、このほかにもアトピー性皮膚炎のスキンケアに参考となる情報を発信していますので、ご覧いただけますと幸いです。