2022.03.03
アトピー性皮膚炎の治療は、それぞれの要因に対して適切に組み合わせて行います。
標準的には、皮膚の炎症を抑える抗炎症療法(薬物治療)、バリア機能の改善を目指すスキンケア、アレルゲンなどの外的要因への対処や環境改善といった治療を実践します。
これらの「薬物療法」「スキンケア」「外的要因への対策」を十分に行ったうえで効果が得られない場合に、漢方治療の併用を検討するケースがあり、漢方治療を併用したり、補助的に使用したりすることが有効な場合もあるとされています。
この記事では、アトピー性皮膚炎の要因の解説や、「漢方」に対するおすすめの関わり方をご紹介します。
「アトピー性皮膚炎におすすめの漢方ってどんなものがあるの?」と疑問をお持ちの方は、ぜひ目を通していただいた上で、適切な治療による症状の改善を目指しましょう。
アトピー性皮膚炎の代表的な要因として、「アトピー素因」「バリア機能障害」「外的要因(環境要因)」の3つが挙げられます。
これら3つが重なると症状として現れます。
しかし、どれか1つでも要因が欠けると、症状に現れにくくなるのです。
ここでは、3つの要因について詳しく解説します。
体質によって、アトピー性皮膚炎を発症しやすい人がいます。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー性疾患のひとつです。
そのため、本人や家族が花粉症や食物アレルギーといったアレルギー性の病気を持っている場合、遺伝的にアトピー性皮膚炎になりやすい傾向があります。
アトピー素因とは、アレルギー性疾患の病歴や家族歴を持つ体質のことを指すのです。
また、アトピー性皮膚炎には「IgE抗体」も関与しています。
IgE抗体とは、免疫物質のひとつです。
体内にアレルゲン(ハウスダストや花粉など)が侵入すると、IgE抗体が反応し、ロイコトリエンやヒスタミンなどの化学物質が生成されます。
この化学物質が、かゆみやくしゃみといったアレルギー反応を引き起こすのです。
皮膚のバリア機能の問題も、アトピー性皮膚炎の一因です。
皮膚のバリア機能とは、皮膚の角層や角層細胞間脂質が肌を守り、肌からの水分の蒸発や、体内へのアレルゲンや微生物などの刺激の侵入を防ぐ働きの事です。
しかし、角層細胞間脂質が減少するなどしてバリア機能に障害があると、水分が蒸発しやすくなり外部から体内にアレルゲンが侵入しやすくなってしまいます。
皮膚のバリア機能障害を引き起こす原因のひとつとして、「セラミドの低下」があげられます。
セラミドは、角質層内で水分を保ち、細胞どうしをつなぎとめる働きを持っており、強固なバリア機能の形成には欠かせない成分です。
アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、セラミド含有量に異常な低下が確認されています。
その他の原因として、「フィラグリン遺伝子変異」が確認されています。
フィラグリンとは、皮膚のバリア機能に必要なたんぱく質で、角層の細胞を構成する重要な役割を担っています
このフィラグリンの遺伝子に変異があると、皮膚のバリア機能低下につながってしまうのです。
体内にアレルゲンが侵入すると、皮膚のアレルギー反応が起きやすくなります。
その結果、皮膚にかゆみなどが生じ、掻いてしまうことでさらにバリア機能低下を招いてしまうのです。
生活環境や生活習慣、ストレスなども、アトピー性皮膚炎を引き起こす要因のひとつです。
生活環境においては、ダニやハウスダスト、食べ物といったアレルゲンが原因となっているケースが多いです。
こういったアレルゲンが皮膚内に侵入し、アレルギー症状を引き起こします。
ほかにも、紫外線や汗、乾燥なども肌に刺激を与えてしまうこともあるのです。
生活習慣の乱れも、アトピー性皮膚炎に影響します。
暴飲暴食や睡眠不足は、ホルモンバランスを崩してしまい、皮膚にも悪影響を及ぼしてしまうのです。
また、十分に睡眠がとれていないことが疲労やストレスに繋がり、かゆみなどの症状を悪化させてしまうこともあるでしょう。
アトピー性皮膚炎にはここまでお伝えした標準的な治療法が用いられますが、これらの治療で十分な効果が得られなかった場合などに、漢方薬を併用や、補助的な使用を検討します。
漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作られており、その効能も幅広く存在します。
また、体質や現在使用中の薬との関係を考慮して使用しなければ、副作用のリスクもあります。
そのため、一概に「アトピー性皮膚炎には○○」というような画一的な視点で処方されるものではありません。
漢方薬での治療を希望される場合には、漢方薬に習熟した医師や薬剤師に相談したり、指導を受けた上で取り入れられることをおすすめします。
アトピー性皮膚炎の治療方法における漢方療法は研究途上にありますが、ここでは有効性の研究にあたり着目されている漢方薬の例をご紹介します。
効果が検討されている漢方薬の例
今回は、アトピー性皮膚炎の要因について触れつつ、漢方とのおすすめの関わり方についてご紹介しました。
まずは標準的な治療や対策を継続しつつ、十分な効果が得られない場合などに検討されると良いでしょう。
また、漢方薬の活用には、その人の体質や症状の度合いなど様々な状況を見極めることが求められます。
ご自身だけで判断せず、漢方薬に精通している医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
ライスパワー研究所では、このほかにもアトピー性皮膚炎のスキンケアに参考となる情報を発信していますので、ご覧いただけますと幸いです。