基底膜ケア(基底膜について)Basement membrane care

基底膜について ライスパワーNo.11+

基底膜研究最前線!

今、美容において⼤注⽬の「基底膜」
その重要性を丸ごと解説します!

基底膜とは

基底膜とは、表⽪と真⽪の間にわずかに存在する薄い膜のこと。
表⽪と真⽪をつなぎ、バラバラになったり、混ざり合ったりしないように区分けするものです。
真⽪表⽪結合部とも呼ばれています。

基底膜はたくさんのコラーゲンやラミニン、
フィブリン等のタンパク質からできており、
肌の美容と健康にとって実はとても重要な部分です。

基底膜

基底膜の重要な4つの役割

①肌を物理的に⽀え、
 肌の形に関わる

真⽪と表⽪が混ざり合わないように境界となりながら、⼀⽅で両者が離れないようにしっかりとつなぐ役⽬があり、表⽪と真⽪を物理的に⽀えています。
表⽪と真⽪は混ざり合うと⽪膚としてうまく機能しなくなり、逆に分離すると⽪膚疾患が起こります。⼈としての基本的な働き、動きを⽀えるうえで、⾮常に⼤事な役⽬があります。

①肌を物理的に⽀え、肌の形に関わる

②表⽪幹細胞を基底層にとどめ、
 肌のターンオーバーに関わる

表⽪の最深部にある基底層の表⽪幹細胞を出発点に表⽪細胞のターンオーバーが始まります。その表⽪幹細胞は、表⽪の最深部から動かないようにするために基底膜と結合し固定されています。
固定できていないと、肌が不均⼀に形成されたり、表⽪が真⽪から離れたりして様々な異常や⽪膚疾患を招いてしまいます。

②表⽪幹細胞を基底層にとどめ、肌のターンオーバーに関わる

③栄養や⽼廃物を受け渡し、
 肌の機能維持に関わる

⾎管の通っていない表⽪は、基底膜を通して細胞が⽣きていくために必要な酸素や栄養分を受け取り細胞分裂をしています。しかし、⽼化に伴い細胞分裂の速度は低下し、さらには栄養の供給そのものが減少してしまいます。栄養供給が減ると細胞分裂の速度低下に拍⾞がかかり、乾燥や透明感の低下、⾓質層の肥厚やキメの乱れ、バリアの低下などにつながり肌機能の低下(⽼化)が加速します。

③栄養や⽼廃物を受け渡し、肌の機能維持に関わる

④有害物質から真⽪を守り、
 肌の安定に関わる

肌は体の最外層にあるため常に様々な刺激にさらされています。肌の中でも特に最前線で戦う表⽪では、刺激を受けることで体にとってマイナスとなる物質が多く作られてしまいます。ROS(活性酸素)やIL-1α等の炎症性サイトカイン、コラーゲンを分解するMMPなどがそうです。真⽪にまで侵⼊されると肌の弾⼒に関わるエラスチンやコラーゲンが分解されてしまったり、変性したりと⼤きなダメージを負ってしまいます。
これらのような有害な物質が表⽪より奥へ侵⼊するのを防ぐことはとても⼤切です。

④有害物質から真⽪を守り、肌の安定に関わる

基底膜は真⽪と表⽪の状態を
健康に保ち、
美しい肌をうみだすために
重要な部分であることが
分かっています。

基底膜が肌に及ぼす影響は
こんなにもあった!
基底膜研究により
明らかとなった事実

<事実①>シワが発⽣している部分では
基底膜が破壊されている傾向に!

シワと基底膜も密接な関りを持っていることが分かっています。それは、基底膜が異常な状態になるとシワができやすくなるということ。

下の写真を⾒ると、基底膜の主要成分のひとつである4型コラーゲンや7型コラーゲンは、シワの底の部分で全く確認できません。シワがある部分では基底膜の主要成分である4型コラーゲンや7型コラーゲンが検出されず、基底膜が破壊されていることが分かります。

シワと密接に関わっている基底膜コラーゲンを増やすことはシワの改善において重要です。

基底膜の主要成分の1つ、
7型コラーゲンを染⾊した画像
(⻩⾊や⻩緑⾊の部分)

シワ断⾯と基底膜成分
※Br. J. Dermatol.Vol.140(1999)より引⽤(⼀部改変)

シワのない部分
シワのない部分
基底膜のコラーゲンがはっきりと確認できる。
シワの部分
シワの部分
基底膜のコラーゲンが
シワの⼀番深い部分で確認できない。

<事実②>正常なターンオーバーにより
健康な肌を形成するには、
基底膜と表⽪幹細胞の結合が重要!

表⽪の最深部である基底層には表⽪幹細胞があり、そこから細胞分裂した表⽪の⾓化細胞は、セラミドやNMF等の健康で美しい肌に重要な多くの成分を⽣み出しながら徐々に外側に移⾏し、⾓層細胞となった後最後は垢となって剥がれ落ちます。この肌の⼀連の営みをターンオーバーと⾔います。

このターンオーバーの出発点にある表⽪幹細胞は、基底膜に存在する17型コラーゲン等によって基底膜と結合し、基底層に固定されています。17型コラーゲンが⽋損していると、表⽪幹細胞が基底層から動いてしまい、ターンオーバーがうまくいかずに表⽪が不均⼀に形成されてしまうなど、様々な肌の異常が⽣じます。このように基底膜成分は、表⽪と真⽪をずれないように固定し正常なターンオーバーによって健全な表⽪を保つ上で重要な役割を果たしています。

表⽪幹細胞が固定されていない状態
表⽪幹細胞が固定されていない状態
ターンオーバーが上⼿くいかなくなっている。
正常な状態
正常な状態

<事実③>加齢、UVにより
基底膜コラーゲンは減少し、
基底膜の構造が変化することで
ターンオーバーに悪影響を与える
可能性が!

加齢や紫外線により真⽪のコラーゲンが破壊されることは知られていますが、基底膜も例外ではありません。

基底膜の主要成分の1つであるコラーゲンは加齢や紫外線により減少してしまいます。健康な基底膜は波打つような形をした1層の薄いシート状ですが、紫外線の影響や加齢に伴い基底膜が切れてしまうと断⽚となり、この断⽚が幾重にも重なった隙間の⼤きい厚い構造へ変化します。また、⽼化によって基底膜の波打ち構造が減り徐々に平らになっていきます(基底膜の扁平化)。すると健康な肌のターンオーバーに必要な栄養分の受け渡しがうまくいかなくなるなどして肌の⽼化へつながってしまいます。

基底膜の主要成分の1つであるコラーゲンを増やす、構造の変化を防ぐといったことはターンオーバーを整え肌を良い状態に保つためにとても重要です。

年齢による基底膜の構造変化
(断⽚化‧重層化)

※Maturitas. Vol.25(1996)より引⽤(⼀部改変)

年齢による基底膜の構造変化(断⽚化‧重層化)

年齢による基底膜の構造変化
(扁平化)

※Biomolecules. Vol.10(2020)より引⽤

⽪膚の断⾯図
⽪膚の断⾯図
⾚⾊が基底膜‧⻘⾊は⾓化細胞や真⽪線維芽細胞
上から8歳、30歳、60歳、74歳
年齢が上がるにつれ
⾚い線が直線に近くなっています

<事実④>基底膜が弱くなると
シミの原因となるメラニン⾊素が
真⽪にも落ち込んでいた!

シミの原因となるメラニンは、通常表⽪にあり基底膜が境界となって真⽪と混ざることがないよう仕切られています。しかし、基底膜が破壊され隙間から真⽪へ落ち込んでしまったメラニンは、表⽪のターンオーバーで外に排出されないため消えにくいシミとなってしまう可能性があります。

ターンオーバーに伴い排出

ターンオーバーに伴い排出される

ターンオーバーによって排出されない

基底膜が破壊されて
メラニン⾊素が真⽪へ落ち込むと、
ターンオーバーによって排出されない

<事実⑤>基底膜は
体内で発⽣するROS等から
真⽪を守っていた!

肌の最外層にある表⽪は紫外線、アレルゲン物質、刺激物質など様々なストレスから肌を守っています。これらのストレスと最前線で戦う表⽪ではストレス物質の影響で体にマイナスとなる物質が多く作られてしまいます。有名なのがROS(活性酸素)やIL-1α、IL-8等の炎症性サイトカイン、コラーゲンを分解するMMP等です。

これらが真⽪に侵⼊すると線維芽細胞を刺激し、エラスチンを分解してしまう酵素を作らせる働きがあります。基底膜は、このような悪影響を及ぼす物質を表⽪より奥に⼊らせないようにする防波堤の役割を持っています。ヒトが持つ抗酸化能は真⽪より表⽪の⽅が強いことが分かっており、同じ抗酸化酵素でも、種類によっては表⽪の⽅が2〜3倍、モノによっては8倍も強い抗酸化効果があります。
つまり基底膜が破壊されると、真⽪はコラーゲンやエラスチンの分解などエイジングに関わる⼤きなダメージを負いやすくなってしまうため、基底膜を守り抜くことが有害物質を真⽪に⼊れずに健康で安定した肌を保つことにつながります。

真⽪は表⽪より ROS(活性酸素)に対して脆弱

真⽪は表⽪より
ROS(活性酸素)に対して脆弱

基底膜の状態はエイジングの
様々な症状と密接に関わっています。
基底膜コラーゲンが減少し
基底膜が破壊された肌では、
シワ、たるみ、ハリの低下、シミ、
乾燥やくすみ等のエイジングサインが
発⽣しやすくなります。

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