2022.03.24

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる主な3つの原因と治療方法

  • アトピーケア

アトピー性皮膚炎は、一般的に乳幼児・小児期に発症し、年齢が上がるとともに患者数が減少し、一部の患者が成人型アトピー性皮膚炎に移行すると考えられています。

国内における1992年から2002年までの10年間で、皮膚科医の健診による有症率調査に関わる文献14編の解析によると、年齢別の有症率は、乳児で6~32%、幼児で5~27%、学童で5~15%、大学生で5~9%と、文献によって幅は見られるものの、全体的には乳幼児で有症率が高い傾向にあります。

そこで本記事では、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる原因や治療方法について紹介します。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎にどのような対応をすればよいのかお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。

乳幼児がアトピー性皮膚炎になる原因

アトピー性皮膚炎の主な要因としては、アトピー素因、バリア機能障害、外的要因の3つが挙げられます。

アレルギー反応を起こしやすい体質の場合、バリア機能の低下によって、アレルゲンなどの刺激が肌内に侵入することで発症し、かゆみを伴う湿疹が慢性的に現れる疾患です。

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる原因としても、この3つの要因が考えられます。

ここからはそれぞれの要因について紹介します。

原因①アトピー素因

原因の1つとしてアトピー素因というものが挙げられます。

アトピー素因とは、簡単に言うと「アレルギー反応を引き起こしやすい体質」のことです。

具体的には以下の2つがあります。

  1. 本人もしくは家族が、喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の疾患を持っている又は、罹った経験がある場合
  2. アレルギーと深い関係があり、免疫物質である「IgE抗体」ができやすい体質であること。

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を発症する場合においても、遺伝や体質的な要素であるアトピー素因が関わっています。

原因②バリア機能障害

バリア機能とは、肌に備わっている働きの一つで、肌内の水分を保持し、外的刺激が肌内に侵入するのを防ぐ役割を担っています。

アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、このバリア機能が低下しており、アレルゲンなどの刺激が肌内に侵入しやすくなっている傾向にあります。
バリア機能が低下する原因としては、バリア機能に欠かせないセラミドの減少などが挙げられます。

特に赤ちゃんの肌は、大人の肌と比べて十分に発達しておらず、このバリア機能が未成熟な状態です。

そのため、外部からの刺激に敏感であり、少しの刺激であっても炎症やかゆみを引き起こすリスクが高いといえます。

原因③外的要因

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を発症する原因として、外的要因が挙げられます。

前項のバリア機能でも言及した通り、赤ちゃんは生体機能が未成熟なため、大人では気にならないほこりや刺激が、赤ちゃんにとっては大きなリスクになりうるのです。

そのため、赤ちゃんが生活する環境を整えることが重要です。

ここでは、アトピー性皮膚炎の原因となる外的要因のうち、特に赤ちゃんの場合に考えられる例を紹介します。

よだれや食べこぼしなどの皮膚刺激

赤ちゃんは大人がサポートをして食事を行います。

しかし、上手に口が開けられないことや口に含んだものを吐き出してしまうことがあります。

こういった食事のよごれや食べこぼしをきれいにするために、赤ちゃんの肌をごしごしと拭いてしまうと肌が傷ついてしまうのです。

特によごれやすい口の周りや手などは、やわらかいタオルを使用しましょう。

また、力を入れると肌が傷ついてしまうので、できるだけやさしく押さえるようにふいてあげるとよいです。

タオルでよごれや食べこぼしが取れない場合は、水で濡らしたおしぼりを使うことも有効です。

また、よごれや食べこぼしを長時間放置することは避けましょう。

肌によごれや食べこぼしが残ってしまうと、それが肌のトラブルにつながったりアレルギーの元となる可能性があります。

なかなかよごれが取れない場合は、何度もタオルで拭くよりも、洗面所やお風呂で洗い流す方が肌への負担が少なく清潔に保てます。

赤ちゃん自身が自らの肌を刺激する

赤ちゃんは身につけている服がかゆいときやおむつのムレなどが気になると、自分で肌を擦ったり掻いたりすることがあります。

かきむしることで肌が傷ついてしまい、外部からのほこりや細菌が肌の内部へと侵入してしまいます。

そのため、赤ちゃんの爪は適切な長さに保つようにして、肌を傷つけないように対策をしておきましょう。

また、ベビー用の爪やすりなどで、爪をなめらかに保つこともおすすめです。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状の特徴

2歳未満の赤ちゃんにおけるアトピー性皮膚炎の特徴には次のような特徴がみられます。

  • 頬や額、頭の露出部分が乾燥し始め、次に皮膚に赤みが出るのが始まりです。
  • 症状の進行度合いが高くなると、皮膚の赤みはより強くなり、丘疹が現れると同時に痒みが生じます。掻きむしることで、皮膚は傷つき湿り気を帯び、かさぶたをつくります。
  • 皮疹がさらに拡がり、耳の周囲、口回り、頬、顎など、顔面全体に及びます。
  • 顔面の症状からやや遅れて、首やわき、ひじ、ひざなどの関節の内側部分に組織液の滲出を伴う赤い皮疹が生じます。
  • さらに、胸や腹部、背中、手足にも赤みや皮疹が出現するようになります。

赤ちゃんの頬などが慢性的に乾燥してかさかさしていないかなど、肌の状態にも気を配りましょう。

アトピー性皮膚炎と乳児湿疹の違い

アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹があり、皮膚症状が慢性的に悪化や改善を繰り返す病気です。

乳児湿疹は1歳前後の乳児に見られる湿疹の総称で、顔や首などを中心に赤み、痒みのある湿疹、かさぶたなどが現れます、乳児湿疹にはアトピー性皮膚炎も含まれます。

乳児湿疹かアトピー性皮膚炎であるのかを見分けることは難しいといわれています。

いずれにしても、症状が強く出ている場合や、慢性的に繰り返す場合などは、ご自身で判断せずに、医師の診察を受けましょう。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎はどのような基準で診断されるのか

アトピー性皮膚炎の診断基準として、日本皮膚科学会は以下のように示しています。

アトピー性皮膚炎の診断基準

  • かゆみがあるか
  • 特徴的な皮疹と分布
  • 症状が慢性的か、繰り返しているか

赤ちゃんにおいて、早期にアトピー性皮膚炎かどうかを見分けるサインとしては、抱き上げた際に痒みのため頬をすり寄せる動作を見せるか、裸にすると身体を掻くような仕草を見せるかどうか、手の届く範囲に掻いた跡が無いかなどを観察します。

ただしご自身で判断できるものではないということを前提に、医師の診断を受けるようにしましょう。

アトピー性皮膚炎の治療方法と赤ちゃんにおける注意点

ここではアトピー性皮膚炎の標準的な治療方法と、赤ちゃんの治療における注意点をご紹介します。

ステロイド外用薬による治療

治療方法としてまず挙げられるのが、抗炎症外用薬であるステロイド外用薬を使うことです。

ステロイド外用薬には炎症を抑える役割があります。

ステロイド外用薬は病院で処方される薬ですので、医師から指示された用量・用法・使用期間などを適切に守り使用することが大切です。

副作用から赤ちゃんに使用することを心配される方もいらっしゃいますが、不安に感じる点や具体的にどのような副作用があるのかなど、ささいなことでもまずは医師に相談することが大切です。

保湿によるスキンケア

アトピー性皮膚炎の治療においては、保湿によるスキンケアも重要です。

赤ちゃんの肌は、バリア機能が未熟なため乾燥しやすい状態にあります。

そのため、保湿剤で未熟なバリア機能を補ってあげることが有効です。

保湿剤は低下している肌の水分を高めることでバリア機能を補い、乾燥やかゆみを軽減することができます。

アトピー性皮膚炎の症状が沈静化した後も、継続して保湿を続けることが、悪化の予防につながります。

悪化因子への対策

悪化因子には、ほこりやダニ、花粉、衣類などの外的刺激や、空気の乾燥や心理的ストレスなどが挙げられます。

アトピー性皮膚炎の症状を悪化させないためにも、この悪化因子の対策を行うことが重要です。

たとえば、赤ちゃんが寝る際に使用する布団にこまめに掃除機をかけることやエアコンのフィルターを掃除することなどが挙げられます。

赤ちゃんの肌が乾燥しないようにすることや、生活をするうえでストレスを感じない環境にしてあげることが大切です。

治療における注意点

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の治療や予防に、アレルゲンになりやすい食べ物を避けると良いという情報を目にしたことのある方もいるかもしれませんが、取り入れるには注意が必要です。

特定の食べ物が明らかにアトピー性皮膚炎の悪化に寄与していると確認されている場合を除いて、一般的にアレルギー症状を引き起こしやすいとされる食べ物を避けることは推奨されていません。

赤ちゃんの食事制限は、体重の減少や栄養障害など、健康への悪影響を引き起こす危険性が高いもので、アレルゲンになりやすいという理由のみで食べ物の種類を制限することは、アトピー性皮膚炎の治療に有効ではないと考えられています。

アトピー性皮膚炎に食物アレルゲンが関与する場合もありますが、まずは抗炎症外用薬による治療を十分に行うことが大切です。

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎にならないための対策

最後に赤ちゃんがアトピー性皮膚炎にならないための対策を3つ紹介します。

これから対策を行おうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

対策①こまめな保湿ケア

効果的な予防方法としてこまめな保湿ケアがあります。

これまで述べてきたように赤ちゃんの肌のバリア機能は未熟であるため、外部からの刺激を受けやすいです。

そのため、肌の保湿をしっかりと行ってバリア機能を高めることが重要です。

乾燥しやすい部位などは、こまめに保湿してあげましょう。

生まれ持ったバリア機能が低くても、生後1週間以内から毎日保湿を続けることで、バリア機能が高い赤ちゃんと比較してアトピー性皮膚炎の発症リスクがほとんど変わらなくなったという報告もあります。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の発症予防に保湿ケアは非常に大切ですので、継続してケアしましょう。

対策②湿疹ができやすいところは清潔に保つ

赤ちゃんの肌には湿疹ができやすいところがあります。

顔や首などの部分や手足の関節の部分、赤ちゃん自身が引っかきやすい場所にも湿疹が発生しやすいです。

こういった部分は常に清潔に保ってあげることで湿疹を予防できる可能性があります。

濡れたやわらかいタオルを使ってやさしくなでるようにふいてあげることや水で洗い流してあげることも有効です。

対策③部屋の湿度を調節する

最後に、赤ちゃんが過ごす部屋の湿度を調整してあげることです。

ご紹介した通り、アトピー性皮膚炎の治療において悪化因子となるものを、極力避けることは予防においても大切です。

空気が乾燥する冬場などは、肌の水分が奪われてしまうため、加湿器などを活用して適切な湿度にコントロールしましょう。

逆に、湿度が高すぎるとダニが増殖してしまうため、湿度の高くなる季節には、こまめに除湿や換気を行うことが大切です。

換気も1か所のみの窓やドアを開けるのではなく、空気の通り道を作るように2か所の窓やドアなどを開けて換気を行うことがおすすめです。

赤ちゃんはバリア機能が未成熟

アトピー性皮膚炎を発症する要因として、アトピー素因、バリア機能障害、悪化因子の3つが挙げられます。特に赤ちゃんの場合は、皮膚が発達しきっていないため、バリア機能が未熟な状態です。

肌が乾燥していないか、痒がるような仕草を見せていないかなどを気にかけながら、乾燥しがちな部分などは保湿によるスキンケアを継続的に行いましょう。

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記事を書いた人

ライスパワー研究所
編集部

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる主な3つの原因と治療方法

赤ちゃんの肌の湿疹がアトピー性皮膚炎なのか判断に迷ったことはないですか?本記事では赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる原因や治療方法を解説しています。

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